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【アイナナ/R18】Melody.【九条天】

第8章 7 Melody.




触れようとしたけど躊躇って、手が彷徨うこの光景には見覚えが。
八乙女さんの姿が……さっきの三月さんと重なる。

「あっ……悪い」って、バツが悪そうに頭を掻く八乙女さんはなんだか子供みたい。


イケメンのくせに可愛いとまで思わせるなんて……ある意味恐ろしい人だ。



「陸くん、ちょっと聞いてもいいかな?」

「は、はい」

「天はどこまで知ってるんだ?」

「……番組の事はオレから言いました。でも姉に男性恐怖症がある事は言ってないから知らないはずです……」

「そうか……なら俺達は下手に話さない方がいいね」



天に伝えるのは私の役目。

そこだけは譲りたくないって思ってたけど大丈夫みたい。


八乙女さんも「そうだな」って言ってくれてる。



「ありがとうございますっ……天にはいつか私から話します……っ」

「うん。俺達は黙っておくよ、大丈夫」

「はいっ……」



男性恐怖症ーー。

何故そうなったのか……2人は最後まで詳しく聞いてこなかった。
多分察してくれたんだろう。


聞かれたら答えるつもりだったけど……彼らの気遣いに今は感謝だ。



「じゃあちゃんも落ち着いた事だしそろそろ帰ろう、楽」

「ああ」

「わざわざありがとうございました。八乙女さん、十さん」

「楽でいい」

「……へっ?!」

「呼んでみな」

(ハードル高っ……)
「が、楽さん……?」

「まあ上出来だな。収録、頑張れよ」

「周りに負けないで、キミらしくやればいいんだよ。放送楽しみにしてるからね」

「は、はいっ!」

「じゃあな、」



実は私……この2人には少しだけ怖いイメージを持っていた。
TRIGGERって大体クールにキメているから。


けど実際会って印象が変わった。
八乙女さんも十さんもとても優しい良い人だ。



「本当にありがとうございます……楽さん、十さん……」

「姉……今なんて言ったの?」

「な、なんでもないよ!あーあ、なんかお腹すいちゃった!ご飯食べよ!」

「えっ!ちょっ、姉押すなよ……!」



◆7 Melody.END◆
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