第8章 7 Melody.
「いいなお前、気に入った」
(気に入った?!)
「えっ、それは一体……」
「お前みたいな奴嫌いじゃないぜ」
「?!」
またまた八乙女さんの微笑攻撃。
私でさえ一瞬クラっときてしまうほどの破壊力だ。
この武器で、今まで一体何人の女の人をKOしてきたのだろう。
10人?20人?いや50人?
絶対多いに決まってる。
(いや、100人かも……)
「なんだよ惚れたか?」
(惚れっ?!)
「えっ?!」
「今見つめてただろ」
「ちっ、違います!ええっと……!」
「慌てすぎだ。ったく……可愛いな、お前」
(……!!)
「イヤっ!!」
突然視界に入った八乙女さんの手。
その大きな手のひらは真っ直ぐ私へと伸びてきた。
反射的に嫌がってしまった私の身体は震え始めるし、どうしてなのかわからない八乙女さんと十さんからは声にならない声が聞こえる。
折角和やかな雰囲気になったのに私のせいで台無しだ。
「す、すみません……!姉は悪気があって嫌がったんじゃないんです!」
「凄く震えてる……陸くん、これは一体……」
「っ……姉、大丈夫……?」
「おい七瀬!シカトしねぇでちゃんと説明しろ!」
「なっ、なんでもないんです!多分ちょっとビックリして……」
「ちょっとビックリでなんでこんなに怯えてんだよ!おい、どうした?」
「……!やめてっ……近寄らないで!!」
「なっ……!」
「待て楽!少し待とう!ちゃんが落ち着くまで……」