第8章 7 Melody.
「だから陸は可愛いんだってば」
「もうやめてよ姉ー……」
「ふふっ」
「おっ!元気になったみたいだな!」
「三月さん……!みなさんも……まだ帰ってなかったんですか?」
「お前さん置いて帰れるわけねーだろー?」
落ち着きを取り戻した私と陸。
ドアを開けると、レッスン室の外ではみんなが待っていてくれた。
けど三月さんは苦笑い。
にしてもよかった!!って、私と肩を組もうとしたから。
「危うく触るとこだった……」
「ありがとうございます気遣って下さって……」
「怖がらせるわけにはいかないからな」
この人達なら、多少は触れても触れられても大丈夫な気がする。
でもいざとなると……私はきっと拒絶してしまうんだろう。
だから今の感じが丁度いい。
丁度いいけど……なんだかちょっと寂しく感じる。
「ちゃんどうしたの?まだ不安だったりする?」
「あ……いえ違うんです壮五さん。私が怖いと思わなかったら、もっとみなさんと仲良くなれたのになって……」
「そんな……今でも仲良しだと僕は思うけど……」
「そーだぞ。りんは、もう俺達の仲間だろ」
「環くん……」
「だから、あんたがいらないって言ったこの王様プリン、俺食っていい?」
「えっ……?」
「環くん……!それは彼女にって買ってきたんだろう?ならちゃんにあげたほうが……」
「ふふっ、いいよ環くん」
「よっしゃ!!」
「あっ……!ごめんね、ちゃん」
「いいんです。……でも環くん、寮に帰ってからにしよう?」
「ヤダ。今食う」
「もう環くんってば……」