第7章 6 Melody.〜天side〜
「……」
真っ直ぐ帰らずにやって来たのはとある小さなビル。
見上げる先には電気がついている部屋と……小鳥遊事務所と書いてある看板がある。
時間がない。
キミから会いに来てなんて……そんな事言ってる場合じゃない。
そう思ってここまで来たのだが、なにより昔の事がフラッシュバックしてなかなかドアをノック出来ない。
「あれ、てんてんじゃん」
(……見つかった)
「何やってんだ、こんなとこで」
「キミこそ何?その袋」
「これか?これは、全部王様プリン。こっちが俺の分で、こっちがりんの分」
「……そう」
突然後ろから声をかけられたと思ったら相手は四葉環だった。
両手に下げているレジ袋の中には大量の王様プリンが入っている。
彼が王様プリン好きなのは知っているけど、自分の分よりに買った方のが多く入っているのは意外。
聞いてみると、好きなもん沢山食べたら元気になんだろって答えが返ってきた。
「何かあった?」
「なんかってもんじゃねーよ!もうずっと、りんしょげてんだからな」
(やっぱりもう……)
「あのサイトの事?」
「そう。あれ、てんてんも知ってるんだな」
「同じ業界にいるからね」
「で……なんでここにいんの、あんた」
「その事で本人に話があって来た。……さんに会わせて」