第7章 6 Melody.〜天side〜
と、話はまとまったのだが……
「……あの人達は何を考えてるの」
「でも順調に用意は進んでるみたいだよ。百さんが言ってた」
「だからってデビューはまだ早いでしょう」
本日最後の仕事であるラジオ出演を終えた後、龍が嘘みたいな事を言ってきた。
〝それにしてもあの番組でデビューか……それまでには気持ちを楽にさせてあげたいよね〟
問いただせば今日の朝、ボクが事務所に来る前……百さんが電話で言っていたそうだ。
「今度ちゃんにも出てもらうんだ!そこでデビューもしちゃう!!」と。
「Re:valeが直々に頼んで事務所もOKしたんだ、大丈夫だろ」
「……そうは思えない」
「もしダメなら向こうの社長さんだって断ってるはずだよ」
(だとしても早すぎる)
「……」
……収録日は明後日。たった2日ではフォローも何もない。
一度ついてしまった負の印象は、そう簡単には消えてなくならないのだから。
こんな大事な事……よくも黙っていられたなと思う。
(……行こう)
「お疲れ様」
「は?おい、いきなり話終わらせんなよ」
「もう仕事は終わったでしょう」
「仕事は終わっても話は終わってねぇだろ」
「約束に遅れるから邪魔しないで」
「約束……?天って彼女いたのか?!」
(……バカ)
「なんでそうなるの」
「あ、いや……デートの約束かなって……」
「そんなわけないでしょう。とにかくボクは帰るよ」
「おい待て!!……ったく!」