第7章 6 Melody.〜天side〜
「やろう、天。もしかしたらもの凄い逸材かもしれないじゃないか……!そんな種を……芽ぶく前から死なせるなんて可哀想だよ……」
(確かには歌が上手い。……可愛いし)
「……」
「俺達はする。あのRe:valeが推すような奴だ、価値はあんだろ」
(ボクも見てみたいよ。がマイク握って大舞台に立つ姿をね……)
「そんなにその人を助けたい?」
「ああ!」
「まっ、俺は興味があるってだけだけどな」
暫く話し合った結果、どうも2人の意見は変わりそうにないとボクは判断した。
楽と龍にここまで言わせるなんて……はある意味凄い存在だよ。
同じ事務所ならまだしも、彼女はライバル事務所の人間なのに……。
「……そう。わかった」
「あ……ははっ!よかった!」
「ただし少しだけだよ。彼女が自力で乗り越えなきゃ意味がない」
「わかってる。俺らは周囲の声を雑音に変えてやるだけだ」
「クスッ、かっこいい」
「……バカにしてんのかお前」
「褒めてあげただけ」
しかしフォローすると言っても、はまだ表に出ていない存在。
直接会えれば色々言葉にして伝えられるけど、今は出来ることをしても間接的にしかならない。
(……キミはボクに会いたくてアイドルになったんでしょう?だったら……)
だったらボクを見て。
近いようで遠いこの距離からキミを応援してあげる。
そして胸張ってデビューしてボクに会いに来て。
その日が来るのを楽しみにしてるから……。