第6章 5 Melody.
それから「みんなでを守ってやろうぜ!」と三月さんは言った。
元気づけるような声の調子だったからか、少し場の空気が軽くなる。
なのに一織くんが「自分が種を蒔いておいてよく守るなんて言えますね」とか話すもんだから、また陸と喧嘩になってしまった。
「わかってるよ……!だから責任取るって言ったんだ!」
「あなたなら守る前に守られるんじゃないですか」
「っ……ムカつくなぁ……!」
「もう陸……!一織くんもやめて……!」
これ以上顰めっ面の2人は見たくないから止めに入る。
おかげで落ち着いてくれたけど……それはただ言い争いをやめただけで、陸と一織くんの眉間にはシワが寄ったままだ。
それにしても陸が悪い事をしたなんて、いくら考えても私にはわからない。
された自覚もないし。
「い、一織くん……私なら大丈夫だから、何があったのか教えてくれる……?」
「大丈夫だなんてそう簡単に言わないでください。人間の心は、辛いことを体験すると脆く壊れやすいんですよ。それはあなたもわかってるでしょう」
(でも私は知りたい。自分の事なら尚更……)
「……大丈夫」
「って、人の話を聞いていなかったんですか?!」
「大丈夫だから……!お願い、教えて……」