第6章 5 Melody.
「っ……あなたのバカさ加減には呆れましたよ!!」
一織くんの声が部屋の中に響く。
どうして彼がこんなに怒っているのか理解できなくて、私は首を傾げるばかり。
空気も重いものに変わってしまったし……なんだか居心地悪い。
「や、やめて一織くん……!何があったのかは知らないけどそんなにカッカしないで……!ねっ……!」
「ほら!彼女はまだ知らないじゃないですか!!なのにわざわざこちらから話して傷付けるんですか、七瀬さん!!」
「傷付けたくて言うんじゃないよ!!遅かれ早かれ、周りからの声は耳に入るだろ?!」
「だとしても今ここで教える必要はないですよ!!デビューを控えているというのに……!」
「ちょっと一織くんやめて……!陸も!!」
「うるさいな……!」
「うるさい……?七瀬さんがバカ言うからでしょう!!」
「オレが全部悪いんだ!!だから騒ぎが落ち着くまでオレが全部責任持つ!!姉を守れるのはオレしかいないんだ!!」
〝姉を守れるのはオレしかいない〟
陸がそう口にした途端みんな黙ってしまった。
大和さんも三月さんも環くんも……壮五さんもナギさんも……そして今の今まで言い争いをしていた一織くんまでもが何も言わなくなった。
代わりにみんな苦しそうにしてる。
眉毛を寄せて辛そうにしてる。
一体何故……。
「陸……それは違うだろ?」
「三月……」
「お前だけじゃねぇよ。オレ達だっているんだからさ……1人で抱え込まないで頼れって」
「そーだぞリク。それじゃソウみたいじゃねーか」
「えっ……僕……?」
「ああ。ソウはいつも1人で悩んでるからなー」
「……すみません」