第2章 1 Melody.
「あっ、そうだ!」
「陸……何してるの?」
「ラビチャだよ!天にぃに教えてあげなきゃ!」
(えっ……)
「お、教えるって何を……?」
「姉がここにいるよって!」
「っ……」
スマホを取り出し、楽しそうな顔をしながら文字を打つ陸。
2人はまだ仲良しなのだろうか。
……けど天の苗字が九条に変わっているのが気になるところ。
陸は七瀬のままだし……私が姿を消していたこの数年で何があったのだろう。
(まだ天とは連絡取りたくないっ……)
「ま、待って陸。それ……」
「よしっ!送ったよ!」
「えぇっ……!」
「ほら!」
私がこの世界に足を踏み入れた理由ーー。
それは初めに言った通り、天にもう一度会うためだ。
でもそれだけじゃない。
やるからには全力で挑みたいと思ってる。
私には才能はないし、男性恐怖症を抱えているから不安ばかりが大きく出てしまっているけど……彼とコンタクトを取るのは、アイドルとしてそれなりに立派になってからがいい。
しかし今はまだ契約しただけの未熟者。
だからあまり存在を知られたくなかった。
(天にぃ!ウチに姉が来たよ!……か)
「早く返事こないかな!楽しみだね、姉!」
(私はまだそんな気持ちにはなれないなぁ……)
「う、うん……」
「どうしたの……?嬉しくないの?」
「い、いや……その……」
「嬉しいだろ?だって姉は天にぃの事好、」