第2章 1 Melody.
「オレは言わなくてもいいよね」
「う、うん」
陸の事はちゃんとわかってる。
でも数年ぶりに見たからか、立派になったなとおばさんみたいな感想を持ってしまう。
1つしか歳違わないのに。
「私はみなさんのマネージャーをさせていただいております小鳥遊紡です!同性ですので、何かありましたら何なりと相談して下さいね!」
(女の子だ……嬉しいな……)
「ありがとうございます紡さん」
「さん付けじゃなくて結構ですよ!さんの方が年上ですから!」
(いいのかな……)
「あ……じゃあ紡ちゃんでいいかな?」
「はい!」
(可愛い子だな……私とは大違いだ)
女の子!って感じがする。
見た目も可愛いし、アイドルならこの子がなった方がいいのではと思った。
私は特別可愛いわけじゃないし、歌も上手いわけじゃない。
それに……男性が怖い。
だからナギさんにキスされた時震えそうになった。
……良いとこなんかなんもない。
「さん、どうかなさいましたか?」
「あ……ううん、なんでもないよ」
「何か悩み事でも……?話なら私聞きます!」
「だ、大丈夫だよ。ありがとう、紡ちゃん」
(こればかりは私がなんとかしないと……)
ある出来事があったせいで男の人が怖くなってしまった私。
でも今は思い出したくない。
考えただけで吐きそうになる。
社長には話したけど、まだみんなは気づいていないみたいだから……今はこのまま黙っておこう。