第6章 5 Melody.
しかも聞いた天は少し驚いたような表情を見せた。
けどそれはほんの一瞬で、直ぐに元の顔に戻る。
いつ収録したのかはわからないけど、番組内で言われちゃ信じるしかなくなるだろう。
だからこの日に天は、私の存在を嘘から本当へと変えたに違いない。
じゃあRe:valeさんからの共演話は天が仕掛けたものなのだろうか。
「ごめん、オレが百さんに頼んだんだ」
「え……?」
(どういう事?)
「ほら……姉がウチに来た時、オレ天にぃに送っただろ?でも嘘だって言われて……」
「うん……」
「あのまま嘘で終わりにされるのが嫌だったんだ。本当に姉はいるのに……」
「でもだからって番組内で……」
「それしか思いつかなかったんだ……!控え室で言ったって、どうせまた嘘だって言って終わるだろうし……こうでもしないと天にぃは信じてくれないよ……」
まさか陸がここまでしていたなんて全然知らなかった。
どうしても私の存在を天に教えたかったとか
会えないならせめて名前だけでもとか……この子は全て話してくれたけど、共演話までは手を出していないらしい。
もう起きてしまった事だから仕方ないけど……天にはまだ知られたくなかったな……。