第6章 5 Melody.
なんて和んだ事、夜にはもう忘れてしまった。
「姉天にぃだよ!かっこいいよなぁ……」
(ほんと……凄くかっこいい……)
陸の部屋に行って並んで見始めた頃は仲良く見ていた。
まあ……たまに切なくなったりしたけど。
でも陸と一緒だと嫌な苦しさは感じなかった。
ただひたすらかっこいいなって……ずっと見惚れて。
「うぅっ……本当にかっこいい……」
「ははっ、声に出てるよ」
「えっ……?!」
「そんなにビックリしなくてもいいだろ?オレは姉の気持ち知ってるんだし」
「そうだけどっ……」
「恥ずかしい?」
「うんっ……」
「もう姉可愛すぎだよ。天にぃに見せてやりたい」
純粋に天の事が好きな私しかいなかった。
6年前の出来事が起きる前の自分みたいに。
テレビとはいえ、彼を見て胸の奥がこんなにも温かくなるのは久しぶりだ。
けど……
(見せなくていい……っ)
「ーー最近あのIDOLiSH7が所属する小鳥遊事務所に女の子の新人ちゃんが入ったんだって!名前はちゃん!!」
(え……?)
番組終了間際に百さんが言ったこの言葉のせいで、胸に抱えていた熱が冷めてしまった。
どうして私の名前が……?
共演話といい……Re:valeさんはいつどこで私を知ったのだろう。
……いや、それより番組内で名前を言った事の方が謎すぎる。
「何……今の……」