第6章 5 Melody.
(ああっ……もうどうしよう……っ)
まさかの重大発表を聞いた私は、フラフラと1人でレッスン室までやって来た。
マネージャーはRe:valeさんの事務所に報告の電話をしに行っている。
しかしとんでもない事になってしまった……。
テレビにデビュー……いきなりこんな派手な仕事、無事にやり遂げられるだろうか。
(ううん、やらなきゃ……!アイドルとして成功するんでしょ……!)
ウジウジしたってダメだ。事務所と契約した時点で私はアイドルの端くれ。
遅かれ早かれ誰かと共演する日は来るんだ。
それが早かっただけ。
凄く早かっただけ。
(よし!曲をもっと完璧にしなくちゃ!)
自身を奮い立たせ、テープをデッキに入れる私。
曲が流れ始めると自然と集中出来て……身体もちゃんとステップを踏んでくれる。
でも歌いながら踊るってこんなに大変なんだと改めて思った。
時々混乱しそうになるから。
だけど本番で失敗なんか出来ない。
そうならない為にも沢山練習しなきゃ。
(もう1回っ……!)
「姉!」
「え……陸?」
「聞いたよ!百さん達との共演!」
「あ……うん。私もさっきマネージャーから聞いて……」
「おめでとう!オレちゃんと録画しておくから!」
「あ、ありがとう」
(でもそれなんか恥ずかしいな……)