第5章 4 Melody.〜天side〜
それから暫く海でオフを過ごした。
まだブツブツ文句を言う楽に水をかけたり。
時には砂を混ぜたり。
埋めんぞ!!って、楽が穴を掘り出したり。
それを見た龍が「これ入ると結構気持ち良いんだ!」なんて言い出したり。
もう完全に子供みたいだった。
「天……お前のせいで全身砂だらけじゃねぇか!」
「楽がいつまでも文句言ってるからでしょう」
「まあまあ2人とも。楽しかったじゃないか」
「……ねぇ。龍に〝まあまあ〟って言わせないようにするんじゃなかったの」
「お前が砂かけてくるからだろ!!」
動き疲れて浜辺に腰をおろす変装したTRIGGER。
でもその変装は、もはやあってないようなもの。
……いや、ない。
楽なんてグラサン外してるし、シャツのボタンは全開。
龍の帽子は海に落ちたからって今干してあるし。
けどこれが本来の2人なんだ。
何も飾らない……素の2人。
(でもボクは……)
自分の格好を今一度見下ろして苦笑い。
ニット帽を深めに被り、度が入っていない伊達眼鏡をかけ、いつもより少しだけダサめの服装と……ボクだけは変装を解かずに本当の自分を隠している。
自分だけ変装したってもう意味はないのに。
「……2人はいいよね」
「は?いきなりなんだよ」
「どうしたんだ?天」
「2人はいつも自分に正直だ。……時々羨ましくなる」