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【アイナナ/R18】Melody.【九条天】

第5章 4 Melody.〜天side〜




「ここが俺のとっておきの場所なんだ!」

「……海」

「なんもねぇな」



こっちだよって龍に案内されながらやってきた浜辺。
確かに人は居なくて良い場所だけど……本当に海以外何もない。


「そ、そう言わなくても……」って龍がションボリしている。



「いつ見つけたんだよこんな場所」

「もう大分前だよ……。なかなか故郷の海を見れないから、せめて近場でいい所ないかなって探したんだ……」

「へぇ……でも沖縄の方が綺麗でしょう」

「透明度でいったらそうだけど……ここは静かだし、こうして眺めてると気分が落ち着くんだ」



本当に龍は海が好きなんだなと思った。
目を細めて遠くを見つめる彼を見れば、誰もがそう感じるだろう。


優しい波音がボク達を包む。



「確かに静かだな」

「光が波に反射して綺麗だね」

「……お前そんな感想も言えんのかよ」

「何?悪い?」

「誰も悪いなんて言ってねぇだろ」



楽が「なんか調子狂う」なんてブツブツ言ってる。
全く……彼はボクをなんだと思ってるんだろうか。


しかしこうやって海を眺めていると、段々と心洗われるような感覚になってくる。

今なら素直になんでも言える……そんな気がした。



(もしキミと一緒に来てたら……好きって伝えてたかもね……)

「げっ。なんだよ天!!」

「何?」

「やけに優しい顔すんな!マジで調子狂うだろ!!」

「なら狂ってなよ。ほら、3回回ってワンは?」

「?!誰がするかよ!!」

「……クスッ。ねぇ、もう少し近付いてみよう」

「あっ、おい天!!ったく……!」

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