第4章 3 Melody.
(申し訳なさすぎる……)
「それよりお前さん、なんで顔赤くしてたんだ?」
「へっ?!」
「こんなレッスン室で俺がいるのも気づかずに1人で真っ赤になってたからなー。ちょっと気になんだろ」
「そっ、それは……」
天の事を考えてましたなんて言えるはずがない。
しかもキスについてだ、益々言えない。
だから言葉に詰まって無口になってるのに、大和さんは「んー?」って地味に説明を要求してくる。
(どう乗り越えようっ……あっ!)
「こっ、これです!」
「ん?何だこれ、歌詞か?」
「はい……!私には歌いこなせそうになくて……」
「なんで?」
「歌詞が照れるものばかりなんです……」
ふーんと歌詞を眺める大和さん。
まだ正式に発表してないものを見せてしまうのはマズイかなと思うけど、もうこれしか誤魔化す材料が見つからなかった。
女の私でも恥ずかしいのに、大和さんは一体どんな反応をするだろうか。
「もろ女の子って感じの歌詞だなー。お兄さんじゃ無理だわ」
「ですよね……?!もうどう歌ったらいいか……」
「んー、でも俺はいいと思うけどなー。お前さんなら上手く歌いこなせる」
「えぇっ……!」
「後」
「は、はい……?」
「これを可愛く歌えば、あの九条もイチコロだとお兄さんは思うよ?」
大和さん……顔が思いっきりニヤニヤしている。
そのせいで頬がまた熱くなってしまった。
見られたくなくてソッポを向いてみたけど……更に追いうちをかけてくるもんだからたまらない。
「耳まで真っ赤にしちゃってー。可愛いなー全く」
「?!」
(や、やめてっ……!)