第4章 3 Melody.
さて、そんなこんなでレッスン場までやって来ました。
今日のレッスンは終わっているけど、明日からこの曲を仕込んでいくと聞いたから少しでも覚えておきたくて。
ここなら思いっきり歌っても大丈夫だし。
(とはいえやっぱり恥ずかしいなぁ……)
歌詞には「好きだよ」とか「Kiss me」とか……私的に顔を覆いたくなる程の可愛くて照れる言葉ばかりが書いてある。
好きだよ?まだ言った事ない。
Kiss me?天に言ったらどうなるか。
いやいや、天は今関係ない!って頭を振るものの……こういうラブソングはやはり好きな人を思い出してしまう。
(天とキス……無理っ!出来ない!だって……)
「かっこよすぎるもん……」
「なーに1人で顔赤くしてんだー?」
「えっ?きゃぁぁぁ!!」
「ちょっ!全力で叫びやがった……!」
そりゃ叫ぶ。
自分しかいないと思ってた場所に人がいたらそりゃ叫ぶ。
これは身体が跳ね上がるくらい本気でビックリした。
「や、大和さん……?!」
「なんかすげー悪モンになった気分なんだけど……」
「すみません……!まさか人がいるとは思っていなくて……本当にすみません!」
「あーいいってそんなに謝らなくて。いきなり話しかけた俺も悪かった」
と言って頭を掻く大和さん。
こっちのが失礼な事をしたのに逆に謝らせてしまうなんて……私は一体何をしているんだろう。
嫌な後輩だな。