第4章 3 Melody.
辛党……。
いや……そんな言葉じゃ表せられない程、壮五さんはこれでもかってくらいに唐辛子を自分の器に盛った。
本人は満足気にカレーを口に運んでいるけど、見ている周りは若干引いたような目をしている。
(私のまで辛く感じる……)
「の、喉痛くないですか……?」
「平気だよ。美味しいからちゃんも入れてみたらどうかな」
(まあ少しくらいなら……)
「は、はい。じゃあ貰いますね」
「いいよ、キミは主役なんだから僕がやってあげる。はい」
(えっ……容器傾けて入れようとしてない……?!)
「あのっ……」
「待てソウ!それじゃが死ぬ!」
大和さんのおかげで助かった。
あのまま傾けられてたら、きっとお皿一面真っ赤になっていただろう。
壮五さんは「え、どうして?」みたいな顔をしているけど。
「そうだぞ。そーちゃんのベロは、普通じゃねーんだから」
「僕の舌は……普通じゃない……?」
「そんなの食ったら、」
「ピー」
「する時、痛くなんだろ」
「……おい誰だ?タマの発言に規制音入れたの」
「私ですよ!」
「イチか。けどよくわかったな、タマがアレを言おうとしたって」
「四葉さんですから」
「なんだよそれ!ひでーないおりん!」
一織くんはよく周りを見ている。
常に冷静になって、次に何が起こるかまで予想しているみたいだ。
おかげでアレを聞く事はなかったけど……
「ふふっ」
やっぱりこの人達は楽しい。