第40章 39 Melody.
力を抜いて、音楽に身を任せて歌う––––。
私には新曲を合わせて3曲あるけど、正直どれも「上手く歌わなきゃ」って思いながらやってた。
だからどうしても音程を気にしてしまうんだ。
けどそうしないと直ぐ音痴になる。
メロディーがガタガタになる。
……本当は怖い。
怖いけどマネージャーがしつこく言ってくるから、1回だけ何も考えずに歌ってみようと……私はドキドキしながらもチャレンジしてみた。
すると……
「ハァ……」
(た、ため息……)
「全く……どうしてあなたはそうなんですか」
(呆れてるっ……)
「すみません……」
「やれば出来る。やはりさんは最高のアイドルです」
「……え?」
(怒るんじゃないの……?)
「良かったですよ、今の歌い方」
マネージャーは真っ直ぐ私の目を見て褒めてくれた。
「良かったです!」「流石です!」みたいな喜び方じゃなくて……優しく語りかけるように。
そんな褒め方出来るんだ……と、失礼な事を思いつつも目頭が熱くなる。
「これからはもっと自由にしてください。まあ外すのはよくありませんけど、のびのびと歌った方があなたらしさも出ま…………って、またですか?」
「泣いてませんっ!!」
「いやいや泣いてるじゃないですか。大声出したってもうバレてますよ」
「っ……ほら!見てください!涙なんかないです!」
「……まつ毛、濡れてますよ」
「えっ……拭いたのに!」
「ははっ、全く……さんは泣き虫ですね」