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【アイナナ/R18】Melody.【九条天】

第40章 39 Melody.




力を抜いて、音楽に身を任せて歌う––––。


私には新曲を合わせて3曲あるけど、正直どれも「上手く歌わなきゃ」って思いながらやってた。
だからどうしても音程を気にしてしまうんだ。


けどそうしないと直ぐ音痴になる。
メロディーがガタガタになる。


……本当は怖い。
怖いけどマネージャーがしつこく言ってくるから、1回だけ何も考えずに歌ってみようと……私はドキドキしながらもチャレンジしてみた。


すると……



「ハァ……」

(た、ため息……)

「全く……どうしてあなたはそうなんですか」

(呆れてるっ……)
「すみません……」

「やれば出来る。やはりさんは最高のアイドルです」

「……え?」
(怒るんじゃないの……?)

「良かったですよ、今の歌い方」



マネージャーは真っ直ぐ私の目を見て褒めてくれた。
「良かったです!」「流石です!」みたいな喜び方じゃなくて……優しく語りかけるように。


そんな褒め方出来るんだ……と、失礼な事を思いつつも目頭が熱くなる。



「これからはもっと自由にしてください。まあ外すのはよくありませんけど、のびのびと歌った方があなたらしさも出ま…………って、またですか?」

「泣いてませんっ!!」

「いやいや泣いてるじゃないですか。大声出したってもうバレてますよ」

「っ……ほら!見てください!涙なんかないです!」

「……まつ毛、濡れてますよ」

「えっ……拭いたのに!」

「ははっ、全く……さんは泣き虫ですね」


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