第40章 39 Melody.
あの後天は、私の頭をふわっと撫でて帰っていった。
キスもそうだけど、頭を撫でてくれたのがなんだか無性に嬉しくて……私は朝からニヤけっぱなし。
そのせいで若干マネージャーに引かれてます。
「……いい加減引き締めてくださいよ」
「えっ、またニヤついてました……?!」
「ました。そんなんでちゃんと歌のレッスン出来てますか?出来てないですよね」
(う……)
「何度言っても直らないようなら、あなたを氷の中にぶち込みますよ」
「こ、氷?!」
「はい。冷たいのは引き締めるのに効果的ですから」
(いやいや死んじゃうよ!)
それは嫌だ!という事で、ここから先は真面目にレッスン。
頭に残る天の温もりを一旦忘れ、ひたすら新曲を歌い上げていった。
英語の発音を気にすると音程を外したり、音程を気にすると発音が疎かになったりと……なかなかバランスが取れなくて辛い。
(難しいなっ……)
「さん、あなた意識しすぎなのでは?」
「い、意識?なんのですか……?」
「上手く歌おうとしてるでしょう。それ、一度取っ払って歌ってみて下さい」
「え……でもそうしたら下手くそに……」
「あなたは下手ではありません。かと言って特別上手いわけでもないですけど、力を入れすぎると中の下どころか下の下になりますよ」
(うっ……結構グサッときた……)