第37章 36 Melody.〜天side〜
「で、結局最後まで拒否られたのかよ」
「……うるさい」
「でも楽しみじゃないか。ライブ、それ着て来てくれるんだよね?」
「……そう言ってた」
見せて。
やだ。
見せて。
やだ。
あの後何度か同じ会話をしたけど、最終的に「ライブに着て行くから……!」って強引に終わらされた。
着て来ても見れるかわからないのに。
「そうヘコむなよ。呼べば見れんだろ」
「……ヘコんでない」
「うん。終わったらちゃんを呼––––」
「っ……いきなり立ち止まらないで」
「……」
(……無視?)
「おい龍、何見てんだ?」
「あ、ああ。あれだよ」
(あれ?)
龍が指差したのは1台のテレビ。
それを観たボク達TRIGGERは揃って目を奪われる。
流れているのはこの間撮影したリップのCMで、ボクが観た時は丁度終わり際……と顔を近づけるところだった。
「すげぇな。お前ら本当にキスしたんじゃねぇか?」
「するわけないでしょう」
「でもそう思わせる演技だよ。2人共真剣で……ちゃんなんか……」
「……何赤くなってるの」
「あ、いや……あのちゃん観てるとドキドキしちゃって……ごめん、天……」
(……謝られた)
CMを観ると、あの時の複雑な心境を思い出してまた複雑になる。
けど本当にが艶っぽくて……画面越しだというのに身体が騒ついた。
会いたい……。
そう思わずにはいられない。
(ツアーが終わったら……またキミを感じさせて……)