第35章 34 Melody.〜O〜
「っ……」
(天っ……)
なんて辛そうな顔をするのだろう。
なんて弱々しい姿を見せるのだろう。
私から目を逸らしてても、天の気持ちが充分すぎるほど伝わってくる。
(だから避けてたんだねっ……)
ここ数日の彼の行動は、TRIGGERの九条天を守るためにしてきた事だったんだ。
元々あった完璧なプロ意識
ファンを大切にする姿勢
彼は彼で、私と仕事の間で苦しんでたんだ。
「そんな顔をさせてるのは私なんだね……」
「……」
「天……私、あなたの事が本当に大好きだよ。でもそれと同じくらい……TRIGGERの天も大好きなの」
「……」
「会えない間、遠くからいつも応援してた。輝くあなたを見て安心して……私もファンのみんなと同じで元気をもらってた……」
「……」
「あなたを待ってる人は大勢いる。だからあなたは笑顔を見せ続けなきゃいけない。でも自分のせいで、そんな苦しそうな顔をさせてしまうなら……頭を抱えさせてしまうなら……私……っ」
「……何を言うつもり?ボクが側にいないとキミが辛くなるでしょう」
「でもっ……」
「心が決まったからここに連れてきた。……その意味がわからないとは言わせない」
「っ……」
「……も覚悟を決めて」