第35章 34 Melody.〜O〜
「はぁっ……あぁ……っ」
部屋中に響き渡る私の声。
天の吐息。
時々聞こえる水音。
前より彼を感じるからか妙に気分がおかしい。
天の温もりが愛おしくて……触れてくれる指先が愛しくて……つい伝えてしまいそうになる。
「天っ……」
「っ……なに……」
「あ––––」
「……途中でやめないで」
「っ……ごめんなさいっ……」
(やっぱダメ……っ)
〝愛してる〟
この気持ちはきっと、これからもずっと胸に宿して生きていくんだ。
なのに口に出せないのは……凄く悔しいし悲しい。
涙が出るくらい想ってるのに、言えるのは「大好き」だけ。
「あのさ……そんなにくっ付かれたら動––––」
「好きだよっ……」
「……」
「大好きだよっ……」
「わかってる」
「好きすぎて胸が痛いのっ……ねぇっ……どうしたらいいっ……?」
聞いたって答えは出ない。
我慢するしか方法はない。
それでも何か言ってほしくて……私は彼を見つめ続けた。
自分だけでは解決出来ないから。
「……今はまだ軽くしてあげられない」
「え……」
(軽く……?)
「ボク達はアイドルだ。何より大切にするべきものはファンのみんな……」
「うん……」
「……なのにボクはファンを裏切った。キミを手に入れた瞬間にね」
「っ……」
(そう……だよねっ……)
「でも抑えられなかった……」
(え……?)
「キミを想う気持ちを……なかった事にしたくなかったんだ……っ」