第35章 34 Melody.〜O〜
意地悪だ……。
今日の天は凄く意地悪だ。
舌を入れるってわかってるくせに聞いてくるなんて……。
しかも擦る程度に唇を耳に近付けてくる。
焦らされてるみたいで……なんだかもどかしい。
「わっ……わかってるでしょっ……?」
「さあね……」
「ひゃぁっ……!」
(ずるいっ……)
「何……?まだ何もしてない」
(してるよっ……息が耳にかかって……っ)
「やめっ……」
「……やめてほしい?」
「んぁっ……!うっ……うんっ……」
「そう、なら……」
「っ……!」
(な、なにっ……?)
「これ……早くボクに捧げて……」
妖艶な笑みを浮かべて私の唇をなぞる天。
羞恥心を煽るのが上手すぎるその行動に目眩を覚える。
捧げてって言われてもさっきは勢いでやっただけだしっ……もう無理だよっ……。
どうしようどうしようって慌ててる間も、天は指先でなぞり続けている。
これは待っていても向こうからはしてくれなそうだ。
(でもやめるって言われるのは嫌だっ……)
「へっ……下手くそだよ……?」
「知ってる」
(それちょっとヘコむ……けど……)
「いつまで待たせるの」
(目を閉じれば大丈夫っ……)
「じゃ、じゃあ……っ」
「……」
(えぇっ……急に真面目な顔にならないで……っ)
「……まだ?」
(あぁもうっ……頑張れ私……!)
「い、今するから……」
「するから何……?」
「目……閉じてね……っ」