第35章 34 Melody.〜O〜
(っ……やばっ……)
頬を微かに染めながらムスッとしている天。
私を抱きしめてる筈なのに……だんだんと抱きついてるように見えてきた。
うわぁ……可愛いなぁ……って、胸がキュッと締め付けられる。
(ギャップってやつかな、これっ……)
「……黙らないで」
「えっ?!」
(な、何を言えば……?!)
「恥ずかしいでしょう……」
どうやら天は、甘え損ねたって言ってしまった事に照れているらしい。
私の頭に頬を寄せたまま動かないから……もしかしたら赤い顔を見られないように隠してるのかも。
益々可愛い。
「い、いいよ……?」
「……何」
「私でよければ……甘えていいよ……?」
「……もうやってる」
「っ……」
「それに……」
「な、何……?」
「……キミじゃなきゃやってない」
(えぇっ……?!)
驚いた。
思わず声に出してビックリしそうになった。
だって天が凄く素直になってる。
ふて腐れているような口調で言うけど、話す事はとても素直なものばかり。
一体どうしちゃったんだろう。
「て、天––––」
「気持ちいい……ずっとこうしてたい……」
(なんなの急にっ……)
「えっと……っ」
「……クスッ」
「えっ……?」
「どう?ボクの演技、完璧でしょう?」
(何?どういう事……?!)
「……このボクが素直に甘えるわけない」
(ま、まさかハメられた……?!)
「きゃっ……!」
「キミのその顔が見たかっただけ。でもまだ足りない」
(押し倒されたっ……)
「なっ……何する––––」
「わかってるでしょう」
「っ……」
「もっとボクを興奮させて……」