第34章 33 Melody.〜天side〜
〝呆れちゃったのっ……?〟
か細い声。
のはずなのに……ボクにはやけに大きく聞こえた。
違う……。呆れたわけでも嫌いになったわけでもない。
寧ろ大好きで仕方なくて、今ここで抱きしめたいくらいなんだ。
なのにボクは素直になれず、もっと酷い事を言ってしまう。
声に出して言えば言うほどの表情が曇っていくのを見て……ボクの心もキツく締め付けられていった。
「ねぇっ……私のどこがいけなかったっ……?」
「……何の話?」
「撮影だよっ……あの日から様子がおかしいもん……私の演技がダメだったんでしょ……?」
(いや……良かったよ)
「どこがダメだったの……?お願いっ……それだけ聞かせてっ……」
いけなかった所なんて何もない。
は精一杯やり遂げたと思う。
ダメ出しを受けるのはキミじゃなくてボクの方なのに……彼女は全て自分が悪いと思い込んでいるみたいだ。
「……自分でわからないようじゃプロ失格」
「っ……」
「……スタッフが絶賛してたでしょう」
「えっ……う、うん……」
「それがあの撮影の結果。ダメなら撮り直しをしていたけど、それはしなかったでしょう?……もうわかった?」
凄く良かったよ。
本当に誘われてるみたいだった。
ねぇ、撮影の為に沢山練習したんでしょう?
失敗しないように……ボクにも周りにも呆れられないように……そしてファンに失望されないように、キミなりに沢山練習したんでしょう?
その努力はちゃんと結果に現れてた。
スタッフは皆良い顔でキミを褒めてた。
だから自信持って。
、キミは最高だったよ。
……って言いたい。
声に出して伝えてあげたい。
なのにどうして……こういう時は遠回しにしか言えないんだ……。