• テキストサイズ

【アイナナ/R18】Melody.【九条天】

第34章 33 Melody.〜天side〜




〝呆れちゃったのっ……?〟



か細い声。
のはずなのに……ボクにはやけに大きく聞こえた。


違う……。呆れたわけでも嫌いになったわけでもない。
寧ろ大好きで仕方なくて、今ここで抱きしめたいくらいなんだ。


なのにボクは素直になれず、もっと酷い事を言ってしまう。

声に出して言えば言うほどの表情が曇っていくのを見て……ボクの心もキツく締め付けられていった。



「ねぇっ……私のどこがいけなかったっ……?」

「……何の話?」

「撮影だよっ……あの日から様子がおかしいもん……私の演技がダメだったんでしょ……?」

(いや……良かったよ)

「どこがダメだったの……?お願いっ……それだけ聞かせてっ……」



いけなかった所なんて何もない。
は精一杯やり遂げたと思う。

ダメ出しを受けるのはキミじゃなくてボクの方なのに……彼女は全て自分が悪いと思い込んでいるみたいだ。



「……自分でわからないようじゃプロ失格」

「っ……」

「……スタッフが絶賛してたでしょう」

「えっ……う、うん……」

「それがあの撮影の結果。ダメなら撮り直しをしていたけど、それはしなかったでしょう?……もうわかった?」



凄く良かったよ。
本当に誘われてるみたいだった。

ねぇ、撮影の為に沢山練習したんでしょう?
失敗しないように……ボクにも周りにも呆れられないように……そしてファンに失望されないように、キミなりに沢山練習したんでしょう?


その努力はちゃんと結果に現れてた。
スタッフは皆良い顔でキミを褒めてた。

だから自信持って。
、キミは最高だったよ。




……って言いたい。
声に出して伝えてあげたい。



なのにどうして……こういう時は遠回しにしか言えないんだ……。


/ 395ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp