第34章 33 Melody.〜天side〜
突如大声を出した。
ここは外だし、おまけに事務所の前だからと……ボクは咄嗟に腕を掴んで、死角になる場所へとを連れ込んだ。
さっきより近くなる2人の距離に、少しだけ胸が高鳴る。
(……ドキッとしてる場合じゃないでしょう)
「キミさ……」
「言いたい事はわかってますっ……でもこのままじゃ帰れませんっ……」
「……ライバル事務所の前で、ライバルであるボクと密会してるなんて事、抜かれたらどうするつもり?」
「っ……」
「……ボクの進む道を邪魔しないで」
「そんなっ……私そんなつもりは……!」
「……もういい。見つからないように早く行きなよ」
いや、帰したくない。
不安そうにしている彼女を放っておきたくない。
どうして自分が冷たくするのかも、その間何を思っていたのかも全て話して……これからの事を2人でちゃんと決めていきたい。
なのにボクは黙ったまま。
1人で抱えて、1人で結論を出そうとしてる。
自分だけの問題じゃないのに……。
「っ……天は……」
「……外ではそう呼ばな––––」
「天は……私に呆れちゃったのっ……?」