第34章 33 Melody.〜天side〜
(……いない)
近くに車を停めて事務所の前までやって来たボク。
しかしそこにはスタッフがいるだけで、他には誰もいなかった。
百さんは?千さんは?
急かされて来たのに居ないってどういう事。
色々と頭で考えるけど、彼らの姿がなければどうしようもない。
(……今度はラビチャ)
【天!裏口来て!】
タイミングを見計らったかのように届いた百さんからのメッセージ。
絶対どこかで見てる。
これは罠だ。
そう思いながらも、仕方なく指示された場所へと向かう。
(……また誰も居––––)
「くっ、九条さん!」
「……!」
(……)
「っ……」
(……そういう事)
裏口に居たのはRe:valeじゃない。
さんが……が、1人でボクの事を待っていた。
切なそうにこっちを見つめる彼女は今にも泣きそうになってる。
胸の前で握る手を震わせて。
「……Re:valeは?」
「っ……い、いません……」
「……そう」
「ごめんなさい、私っ……あなたとお話したくて……!」
「話す事はない。早く帰りなよ」
「っ……」
(今日は送ってあげられない……)
「……気をつけて」
「っ……嫌です!!!!」