第33章 32 Melody.
楽さんと十さんの話はこうだ。
あのCM撮影の後、天と合流した楽と十さんは……一瞬にして彼の異変に気がついた。
いつも以上に冷めた目、雰囲気、表情。
私と付き合ってからはよく照れたりと、色々表情を変えては2人を驚かせていたのに……それが全くなくなったそうだ。
険しい顔。
近寄りがたいオーラ。
おまけに口を開けば説教ばかり。
〝……最悪。何?さっきの態度〟
〝キミ達が不安そうにしてたら、ファンまで不安になるでしょう〟
〝感情のコントロールも出来ないなんて……キミ達はもうプロじゃない〟
〝中途半端な気持ちでステージに立たないで〟
〝ファンを悲しませないで〟
〝ボク達にとって1番大切なのはファンだ〟
〝忘れたなんて言わせない〟
(天……)
「それで……俺も楽も同じ事感じたんだけど……」
「な、なんですか……?」
「うん……。天は自分自身にも言い聞かせるように言ってるんじゃないかなって」
(自分……自身……)
「なあ、お前あいつと何があったんだよ」
「そ、それは……」
(何がって……こっちが聞きたいよっ……)
「色々と注意を受けるのはある意味慣れてるからいいんだ。でも俺達見ていられないんだよ……」
「そう言われても……私だって何が何だか……」
「あいつと喧嘩したんじゃねぇのか?」
「そんなっ……してません!撮影だって、スタッフさんからはとても好評でした!なのに避けたのは向こうですよ?!」
「天がお前を……?どういう事だ」