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【アイナナ/R18】Melody.【九条天】

第33章 32 Melody.




顔も声も完全に楽さんなのに、何故かお蕎麦屋さんの格好をしている人物が私の直ぐそこにいる。


TRIGGERの楽さん?
いや、山村って呼んでくれって言ってたし……違う人?

いやいや……百さんは楽って呼んでたし、その人の隣には十さんがいる。

じゃあやっぱり楽さん?
それとも山村さん?


もう訳がわからない。



「こんばんは、ちゃん」

「こ、こんばんは十さん……あのこれって……」

「ああ、お前には話してなかったな。俺よくこの店手伝ってんだ」

「え……?」

「ここ、おふくろの方のじいちゃんちなんだよ。まあもう離婚してっけどな」



結局この人は楽さんだった。
元々良い人だなとは思っていたけど、彼の話を聞いて益々好感度が上がる。


TRIGGERさんはいつも色んな場所に引っ張りだこなのに……合間を縫ってお手伝いをしているなんて、とても尊敬するし素敵だなと思う。



「ん?なんだよ、そんなに見つめて」

(えっ……私見ちゃってた?!)
「す、すみません!毎日忙しそうにしていらっしゃるのに、お店のお手伝いまでしているなんて凄いなと思ってただけで……!」

「もうかなり年だからな。……放っておけねぇんだ」

(うわっ……何その顔っ……)



おそらく……いや絶対に、世の中の楽さんファンが今の彼を見たら……もっともっと好きになると思う。


だって彼、笑ったんだ。
不安気に笑ったんだ。


心配そうにしてるけど……そこからおじいさんへの愛を感じ取れる。

楽さんは身内を大切にする、大切に出来る……素敵な男性だ。


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