第33章 32 Melody.
(言えるわけないよっ……)
「っ……本当にダイエットなんです!!他に訳はありません!!」
「で、でも……!」
「ご馳走様でした!!」
「あっ……ちゃん、待って!」
天に冷たくされてヘコんでますなんて……そんな事話せるわけがなかった。
それにただでさえ壮五さんは抱え込むタイプ。
そんな彼にこれ以上余計な負担をかけさせたくない。
だから深く聞かれる前に逃げ出したんだ。
後々「これはこれで壮五さんを傷付けた事になる」って思ったけど……もう私の中で立ち去るしか方法がなかった。
(天……私何かしたかな……)
様子がおかしくなったのは撮影した後から。
スタッフさん達は口々に「良かったよ」って言ってくれていたけど、天にとったら違ったのかもしれない。
私の演技が下手くそすぎて呆れてしまったのかもしれない。
と、スマホに手を伸ばしながら考える。
(天、教えて……)
【こんばんは。今日はお疲れ様でした。初めてのCM撮影で九条さんとご一緒出来たこと、とても嬉しく思います。ですが……私上手く出来ていなかったでしょうか……。九条さんの反応が良くなかったので……。よければ聞かせていただけませんか?】
一体どこが不満だったのかちゃんと教えてもらいたくて……私は天にラビチャを送った。
……どんなにキツい事を言われても構わない。
今後にいかしていく為には必要な意見だから。
けど……
(天……)
返事は来なかった。