第31章 30 Melody.
結局保存されたのかどうかわからないまま数日経ち、撮影当日を迎えた。
マネージャーの車に乗り込み、鏡で肌の調子を確認しながらぼんやりと天を考える。
(久しぶりだなぁ……あれ以来会ってなかったし)
あれ以来とは、天と重なり合った日以来って事。
初めはなんとなく思っただけだったけど、急に全てを思い出してしまった私は1人後部座席でアタフタ。
どうしよう!どんな顔して会えばいいの?!
いやいや、仕事なんだから変に慌てたら怪しまれる……!
冷静に……そう、なるべく冷静に……。
と、私が後ろで大袈裟に深呼吸していたからか……バックミラー越しに、怪しむマネージャーとバッチリ目が合ってしまった。
「……何やってるんです?」
「えっ!あのっ……き、緊張してて!」
「しっかりしてくださいよ。今日は九条さんと一緒なんですから」
(だからドキドキしてるんです……!)
「わ、わかってます」
「はい!なら笑って下さい!スマイル!」
(えぇっ?!)
「はっ、はい!」
「表情がかたい!リラックス!」
「はいっ!」
「さあ着きましたよー」
「ちょっ……!」
(何その適当な言い方は!)