第31章 30 Melody.
どうもマネージャーのペースに振り回されるなと思いながら、スタジオの中へと足を踏み入れる私。
そこには既に天がいて、隣にいるTRIGGERのマネージャーさんとお話をしていた。
……が、彼女?彼?の声がやたら大きくて聞こえてしまう。
「いい?あの小娘には撮影以外に近付かない事!わかったわね!」
(え……)
「ウチの天に傷をつけられちゃたまんないわ!」
「っ……」
(傷って……)
サマフェスでお会いした時から、あの人は私に対して良い印象を持っていなかった。
くれぐれもウチの子達に迷惑かけないようにして頂戴。
何かしたらただじゃおかないわよ。
取り乱した時近くにいなかったから良かったけど……もし見られていたら今回の共演はなかったかもしれない。
(よし……今日の撮影で見返してみせる!)
「おはようございます!」
「おはようございます。あなた、くれぐれも天の足を引っ張らないようにね」
(ビビるな……っ)
「はい!」
一方の天は、この人の死角に立っている。
お辞儀をして頭を上げた私と目が合って……優しく微笑んでくれた。
天が笑ってくれれば頑張れる。
挨拶が終わり、それぞれ控え室に向かう中……私はそっと胸に手を当てた。
◆30 Melody.END◆