第30章 29 Melody.〜天side〜
あれから暫く、興奮しながら意気込みを語ってた。
絶対上手くやってみせる!
そしたらもっともっと仕事が増えるかもしれない!
ボクと付き合ったとはいえ、TRIGGERの〝ボク〟と肩を並べたいという思いは忘れていないようだ。
(追いかけてきて。ここで待ってる)
「んもう!なんでウチの天なのよ!」
(……姉鷺さん?)
翌朝。
事務所待機をしていると、マネージャーの姉鷺さんが勢いよくドアを開けて入ってきた。
手に持っている紙は握力によりくしゃくしゃだし、もう片方の手に握られているペンは今にも折れそうになってる。
これは誰がどう見ても不機嫌だ。
「なんだよ、何かあったのか?」
「何かってもんじゃないわよ!天にCMの話が来たの!」
「CM?それなら良い話なんじゃ……」
「龍はわかってないわね!!今回共演なのよ!!あの小娘と!」
(……まさか)
そう、そのまさかだった。
からはそんな話聞いていなかったから、今朝急遽決まったのだろう。
男がいた方が商品のイメージに合う。
TRIGGERの九条くんがそのイメージにぴったりだ。
と、先方は言っているらしい。
「あんな女の為にウチの天は使わせないわ!」
「……待ってください」
「なによ!やるって言っても断りますからね!」
「やらせてください」
「っ……今言ったばかりよ?!あなた聞いてた?!」
「ボクを指名してくれたんでしょう。だったらやるべきだ」