第30章 29 Melody.〜天side〜
「っ……話をしてきたわ。天、出ていいわよ」
「ありがとうございます」
「ただし!私が付き添いますからね」
「はい」
実は姉鷺さん、サマフェスの後「な、なによ。あの子結構やるじゃない」と言っていた。
が披露したあのバラードは……マネージャーの心をも動かしていたんだ。
相変わらず棘のある言い方をするけど、やはり根からの悪い人じゃない。
「打ち合わせは明後日、撮影は一週間後よ。それまでにコンディション整えておきなさい」
「はい」
にも話は伝わっただろうか。
聞いたらきっと驚くに違いない。
えっ?!九条さんと?!
なんて……目を丸くしている姿が目に浮かぶ。
(楽しみだね。でもボクは厳しいよ、覚悟してて)
「……笑ったり険しくなったり忙しいな、お前」
「そう?」
(……また顔に出てたっていうの)
「お前かなり変わったぜ、と付き合ってから」
「……キミは何度言えば呼び方を変えるの」
「でもよかったね。ちゃんと一緒に撮影なんて」
「彼女と一緒だからってボクは怠けたりしない」
「本当は嬉しいんだよね?」
(……言いたくない)
「……別に」
「って、今度は赤くなるのかよ。コロコロ変わって面白いな」
「天がこんなに表情変えるのは新鮮だよ」
「っ……うるさい」
◆29 Melody.END◆