第30章 29 Melody.〜天side〜
「おはよう」
「おはよう天。よく眠れた?」
(……龍もと同じ事言ってる)
「当然でしょう」
「あいつと会えたみたいだな」
「……キミには関係ない」
「あるって言っただろ。けどまあ……」
「……何」
「今日はいちゃもんつけられなくて済みそうだな」
どうやら昨日、完全な変装をして事務所を出て行った所を楽にしっかりと目撃されていたらしい。
しかも今日のボクは雰囲気が違うとまで言い出した。
昨夜は良い別れ方をしなかったのに、彼には幸せそうに見えるそうだ。
「したんだろ?」
(そんな事よく言えるよね)
「何の事?」
「しらばっくれんな」
「大体一々報告するわけないでしょう」
と触れ合った事……自然と表に出ているのだろうか。
確かに良い夜だったけど、まさかこうも簡単に見破られるとは思ってなかった。
それ程満たされたという事か。
「2人共……一体何の話をしてるんだ?」
「こいつとは上手くいってるって話だよ」
「……だから呼び捨てにしないで」
「そうか……よかったな、天!」
(……意味わかってないくせになんでそんなに笑顔なの)