第29章 28 Melody.〜L〜
「っ……!いっ!!」
私……てっきりまだ入ってないのかと思ってた。
だから「もう少し我慢して」って言ったんだなって。
でも違った。
動く時も痛いから我慢してって事だったんだ。
現に例えようのない激痛が身体を襲ってくる。
(耐えるんだっ……泣かないようにっ……)
「んんっ……!」
「っ…………」
「はぁっ……」
(あっ……)
入ってくる時もそうだったけど……私、ずっと手を握りしめてた。
力を入れたらダメだって言われてたのに。
けどどこかで力んでないと負けそうだった。
弱音を吐きそうだった。
そんなの絶対したくなかったから、終わるまでギュッと拳を作ってたけど……今度は無意識に握ってたみたい。
天が「それ以上はダメだよ」って……指を絡めてくる。
(あったかい……)
「ふふっ……」
「っ……なに……?」
「うん……あったかいなって……」
「っ……やめて」
「本当だよ……?凄く安心する……」
「やめてって言ってるでしょう」
「あ……んっ……」
〝こっちの気も知らないで〟
と、キスされる前に聞こえた気がした。
一体どんな思いでいるんだろうって考えたけど……天の余裕ない顔を見たらなんとなくわかった。
彼も我慢してるんだなって。
「天……」
「今度はなに……?」
「大好き……」