第29章 28 Melody.〜L〜

「んっ……」



再び交わす口付けは、さっきよりも甘くて深い。

そう感じるのはきっと……私が自ら彼を求めにいくようになったからだ。


幸せだよって言ってくれた事。
好きだよって言ってくれた事。


それが本当に嬉しかったから。



「何……？随分と積極的……」

「ダメっ……？」

「……って言ったら？」

「えぇっ……」

「クスッ、嘘。いいよ……」

「ぁ……んんっ……」



私はこの時我慢の限界を感じた。


好きな人と触れ合うだけでこんなにも満たされるんだ……。
ねぇもう無理だよ……。
天……あなたが欲しいっ……。


そう強く思う。



「っはぁ……ねぇっ、天……っ」

「なに……？」

「私もうっ……」

「……限界？」

「うんっ……」

「そう……なら力抜いて……」

「っ！！痛……っ」



もはや羞恥心なんてない。
恐怖もどこかに消え去った。

あるのは天への愛情だけ。


好き。
大好き。


私がそう伝えれば彼も返してくれる。
甘い声で「ボクもだよ……」って返してくれる。


けどある言葉だけはどうしても言えなかった。

心から思っている事だけど……簡単に口にしてはいけないような気がして。



（重荷になっちゃうっ……そんな事したくない……っ）