第29章 28 Melody.〜L〜

「んっ……」



天に覆いかぶされた私は緊張で押し潰されそうになってた。


何か喋ってくれないと本当に潰れちゃうっ……。
なんでもいいから口を開いてっ……。


ってずっと待ってたのに天は無言だった。
私の髪を指で梳きながら黙って見つめてた。


その沈黙が辛くて、いっそこっちから話しかけようと思った時……彼は私に熱いキスを送ってきたんだ。



「んっ、ぁ……」



身体が溶けてしまいそう。
頭がボーッとしてきて何も考えられない。


まだまだ慣れない私は舌を出すので精一杯だけど……
天のキスは、いつまでもこうしていたいなって思わせてくるくらい……甘くて優しいものなんだ。


だからかな……彼が離した時追いかけようとしてしまったのは……。



（私はなにやってるのっ……恥ずかしいっ……）

「……こういう時なんて言うのか教えてあげる」

「えっ……？」

「知りたい？」

（な、なんだろう……）
「うん……」

「それは––––」



〝もっと……だよ〟


と、彼は耳元で囁いて……そのまま甘噛みをしてきた。
甘い痺れを感じた私はビクッと肩を震わせる。


ねぇ……言ってよ。


初めて体験する快感という名の戸惑いに耐えるだけでもギリギリなのに……天が「もっと」を催促してくるから余計恥ずかしい。



（もっとって……こんなに言いにくい言葉だったっけ……っ）
「えっ、と……っ」

「キス、したいんでしょう……？」

「っ……！」
（このまま耳元で話されたらどうにかなりそうっ……）

「……」

（もう言うしかないっ……）
「てっ……天っ……」

「なに……？」

「もっと……してっ……？」