第29章 28 Melody.〜L〜
「いいのっ……?」
「当たり前でしょう」
「っ……本当に––––」
「……もう黙って」
––––不安だったんだ。
本当に私としてもいいって思ってくれているのか不安だったんだ。
だからしつこく聞こうとした。
このモヤモヤがなくなるまで。
……でも叶わない。
人差し指を口に当てられたら聞けっこない。
本当なの……?
信じていい……?
まだまだ不安が残る中、彼はまた顔を近づけて距離を詰めてくる。
私に……近寄ろうとしてくれる。
そんな姿を見たら……不安なんてどこかに消えてなくなるよね……。
(ありがとうっ……でもっ……)
天の気持ちはわかった。
この人は私の事をちゃんと大切に想ってくれてる。
自分の頬に添えられた手のひらから……こちらを見つめる瞳から……天の愛を感じる。
嬉しくてまた泣きそうになるけど、代わりに今度は恥ずかしさで満たされてしまった。
触れかけた唇を離しては近付き……また離しては近付いたりと、私の躊躇いに天はいつまでも付き合ってくれる。
「っ……」
(あ……)
けど何回目かで、彼は私の頭の後ろを手で押さえてきた。
これで逃げ場はない。
優しく後ろ髪を撫でてくれる天が好き。
真剣な眼差しで見つめてくる天も好き。
もう……全部大好き……。
そう思いながら、私は彼の想いを受け止めるために……
「んっ……」
ゆっくりと目を閉じた。