第28章 27 Melody.
(あぁっ……もうっ……)
いつから涙が滲んでたんだろう。
天に言われるまで気づかなかった。
しかも指摘された瞬間こぼれ落ちて……私の頬を次々と濡らしていく。
「……明日の予定は?」
「っ……明日はオフでっ……明後日はっ……」
「明後日はいい」
「っ……ごめっ、なさいっ……」
ここでスケジュールを聞いてきた意味がイマイチ理解出来ないくらい、私は涙を止める事に必死だった。
けど全然おさまってくれない。
憎くなる程いっぱい出てくる。
だからってこれ以上長居してるわけにもいかない。
天の大事な睡眠時間が少なくなってしまう……。
(帰らなきゃ……っ)
「ごめんっ……もう大丈夫だから帰––––」
私はオフだけど彼は仕事かもしれない。
睡眠不足で身体がダルいとか……そういう風にはさせたくなくて、私は帰るために立ち上がろうとした。
(あれ……?)
……でも立てない。
何かが私の腕を掴んで阻止している。
一体なんなのかと、掴まれている部分へと視線を向けようとした瞬間……
「わっ……!」
腕を強めに引っ張られ……私は温かいものに包まれた。
その〝温かいもの〟が天の身体だと気づいたのは、ほんの数秒後の事。