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【アイナナ/R18】Melody.【九条天】

第28章 27 Melody.




「……そんな顔させたまま帰せるわけないでしょう」



淡々と言っているようで、どこか柔らかい彼の声。

ちょっとだけ全身が震えてしまうけど……天の温もりがそれを癒してくれる。


ああ好きだな……大好きだなって、そう心から思う私は……勇気を出して彼の背中に手を回した。



「……ねぇ」

「な……なに……?」

「楽と龍がキミ達の寮まで押しかけた日の事、覚えてる?」

「え……う、うん……」

「その時ボクが止めたあの言葉……今聞かせて」

(それって……)



〝大丈夫〟


私はあの時、彼にこう伝えようとした。
だけど天は「いい」って言わせてくれなかった。


それに今になって「次は途中でやめたりしない」「覚悟しといて」とも言われた事を思い出す。


ここで言ったら私は天と……。


そう考えると、急に心拍数が上がって苦しくなった。



「」

「えっと、そのっ……く、九条って人が帰ってくるかもしれないし……っ」

「九条さんは海外」

「あ……そ、そうなんだ……っ」
(今いないんだ……)

「ねぇ、聞かせて……」

「っ……」



切なくも甘い天の声が心に染み渡っていく。


この人にもっと近づきたい。
もっと触れ合いたい。


想像するだけで倒れそうだけど、私はもう決めたんだ。
言うって決めたんだ。


それを今からあなたに伝えるから……


ちゃんと聞いてて……。



「天……」

「何……?」

(あなたとなら……)
「私……」

「……」

(きっと乗り越えられる)
「もう大丈夫だよ……」



◆27 Melody.END◆
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