第28章 27 Melody.
「……何ニヤついてるの」
「ん……だって美味しくて!凄いね天!」
「普段から自炊してるからね」
「それでも凄いよ!」
もう彼の料理の虜だった。
だって和え物も天ぷらも、どれを食べても大正解なんだから。
こりゃご飯の減りも早いわけです。
(お、おかわりしたい……)
「……茶碗、貸して」
「えっ……?」
「おかわりしたいんでしょう。けどその代わり、明日から食事管理を怠らない事」
(バレてた……)
「い、いいよ自分でやるから!」
「……怪我人は大人しく茶碗を渡して」
「っ……は、はい……」
全く天は……折角仕舞った記憶を思い出させるなんて。
これじゃ落ち着いて食べられない。
それどころか、こうして向かい合っている事自体が恥ずかしくてしょうがなくなってきた。
(うぅっ……)
「ご馳走様」
「えっ……もう食べ終わったの……?」
「キミが顔を赤くしている間にね」
(見られてたっ……)
「何?さっきの思い出してた?」
「べ、別にそんなんじゃ……!」
(いやそうだけど……っ)
「……そう。も早く食べなよ」
「う、うん……」
こっちは意識しまくりなのに、天はなんとも思っていないのだろうか。
涼しい顔をして、食器を流しまで持って行ってる。
ドキドキしているのは私だけなのかなって……ちょっと不安だ。