第28章 27 Melody.
「っ……」
手と唇……触れられている部分が燃えているかのように熱くてたまらない。
顔もかなりの熱を持っていて、私は今にも倒れそうだった。
しかし彼は気にも留めない様子で「待ってて」と言い側を離れていく。
その間になんとか落ち着こうと胸に手を当てるけど……これがまた言う事を聞いてくれない。
(もうっ……早く元に戻ってよ……っ)
「指出して」
「えっ?!」
「……何驚いてるの」
まだドキドキしている私の前に再び現れた天の手には消毒液と絆創膏。
手当てしてくれようとしているんだろうが……これ以上近くにいたら本当に倒れかねない。
だ、大丈夫!自分で出来るから……!
それだけは回避しようと、私は慌ててそう口にして目の前で手を振る。
でも天は聞いてくれなくて……「いいから黙って手当てされなよ」と、素早く傷口に薬をかけていった。
「……これからは気をつけなよ」
「う、うん。ありがとう……」
「キミはソファーにでも座って待ってて」
足手纏いになっちゃったな……。
と、指に巻かれた絆創膏を眺めながらソファーに腰をおろす。
けどこの指先を見ていると……彼の優しさがじんわりと広がって、心が温かくなっていくようだった。
私が微笑むのはそのせい。
(ふふっ、嬉しい……)