第27章 26 Melody.〜天side〜
車内は沈黙。
車のエンジン音や、風を切る音しか耳に届かない。
時々横目で見ても……は窓の外ばかり見ていて、口を開く素振りは全く見受けられなかった。
(……話は後ですればいい)
ちなみに向かっているのは九条さんの家。
まあ……今のボクの家とも言う。
どうしてそこに向かっているかって……九条さんはずっと前から海外に飛んでいて留守だから、人目を気にせず2人きりになれる場所としては最適なんだ。
「降りて」
「ここは……」
「ボクの家」
「えっ……」
「……わかったら着いて来て」
九条になった話を聞いてどう感じたか。
何故連絡をしなくなったのか。
今一体何を考えているのか。
と、から早く聞き出したいと思うボクの足は若干忙しなく動いている。
「座って」
「……うん」
玄関やリビング、バスルームを通過してやって来たのは自室。
自分で言うのもあれだが、必要最低限の物しかない……至ってシンプルな部屋。
その中では、ボクが以前彼女を想いすぎるが故に叩きつけた机の側に座った。
正座して俯いているから表情は伺えない。
「……ねぇ」
「……っ」
「回りくどい言い方はしない。質問するから答えて」
「……」
「……ボクが九条さんに着いて行った事、キミはどう思ってるの」