第26章 25 Melody.
(あっ……)
「待って、陸!」
目に涙をためて事務所を飛び出して行った陸。
折角の誕生日なのに、自分のせいでこんな事になってしまって……私は申し訳なさから唇をキツく嚙み締めた。
6年前の失踪といい今回といい……もうただの迷惑者でしかない。
(私……)
「この話は何回もしたでしょう……」
かろうじて聞き取れた天の声。
悲しくて辛くて……そんな気持ちがそのまま乗っかってるような……本当にか細い声だった。
それを聞いた瞬間とてつもない罪悪感に襲われた私は何も話せない……。
「……帰るよ」
「え……」
「こんな状態でパーティーなんか続けられないでしょう」
「そ……そうかもしれないけど……」
「……あの子の側にいてあげて」
辛い。
ただただそう思った。
でも全部私のせいだ。
私が逃げなければ、たとえ九条が天の前に現れても……今とは違う結果に持ち込めたかもしれない。
自分なんてどうでもいいから……天と陸を離させたくなかった。
「ま、待って天……!」
「……何?」
「ごめんなさいっ……私っ……」
「……キミは悪くない。それより早く行ってあげて」
「でもっ……」
「……」
「っ……な、なに……?」
「陸をよろしく」