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【アイナナ/R18】Melody.【九条天】

第26章 25 Melody.





九条鷹匡。


それは初めて耳にした名前。

どんな背丈で
どんな顔付きで
どんな声で
どんな性格をしている人なのか……私には何もわからない。

なのにいきなりそんな名前を出されて、しかも養父だと天は言う。


正直ついていけない……。



「養父って事は……つ、つまり……」
(天はもう七瀬家の人間じゃないの……?)

「……そう。ボクはもう陸と同じ性を名乗れない」

「っ……」

「ボクは九条さんの養子。……だから九条天」



芸名……その可能性を諦めたくなかった。

何かと陸との関係を知られないようにしていた節があったし、芸能界は色々と闇が潜んでそうな世界だから……バレたら仕事に支障が出るとかで、どちらかが苗字を変える必要があったんじゃないかって。


でも違う。
天はハッキリと〝養子〟と言った。

どうしてそうなったのかも、半分放心状態の私に向かって説明してくる。



(私がいない間にそんな……)

「……オレは今でもあいつが憎いよ。……っ、あいつが来なければっ……天にぃは今でも七瀬天だったんだ!!」

「っ……」
(そうだよね……っ)

「天にぃがいくら九条を慕ってても、オレは一生許さない……っ」

(陸っ……)



悔しそうに拳を作る陸。
その手は震えていて……怒りがひしひしと伝わってくる。


私も九条って人に対しては、天の話を聞いてもあまり良い印象を持てなかった。

寧ろあんなに仲良しだったこの2人を引き裂いた張本人としか思えない。


……でも天は「後悔はしてない」って。
「ボクはこれからも九条天として生きていく」って。


なんだかとてもやるせなくて……暫く2人の顔を見る事が出来なかった……。



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