第26章 25 Melody.
〝やっぱり2人は、名前は違えど兄弟だよね〟
確かにずっと気になってた。
いつか聞いてみようって考えてた。
でもさっきの2人を見てたら……苗字なんて関係ないかもって思ったんだ。
だって凄く楽しそうにしてた。
2人共笑顔だった。
あんなに素敵な笑顔を見せていた2人が……辛い過去を味わっていただなんて、そんなの思わないよ……。
(事務所だ……)
「天にぃ、ここで大丈夫……?」
「大丈夫。ありがとう」
(ふっ、2人共もう笑ってない……)
「……」
「はっ、はい……!」
「どうしてボクが九条なのか教えてあげる」
「えっ……あっ、でも私……」
(でもだなんて……その先の言葉が見つからないっ……)
「どんな事を聞いても受け入れて」
良くない話なのは事務所に来る前からわかってた。
それでも受け入れろだなんて……そんなの聞いてみなくちゃなんとも言えない。
だから私は黙って天が口を開くのを待った。
その時間がとても長く感じる。
「……キミが居なくなった日から約1年後、ボクはある人と出会った」
「あ、ある人……?」
「九条だよ……あいつが天にぃを!!」
「陸、黙って」
「っ……」
「そう、九条。九条鷹匡。ボクの……義父だ」
「……え」
(養……父……?)