第25章 24 Melody.〜天side〜
「ありがと天にぃ!いただきます!」
こうして手に入れたミニサイズのオムライスを、陸と並んで口にする。
赤いソースの正体はシンプルにケチャップだった。
スプーンを使うやつしか食べた事なかったけど……これはこれでなかなかいける。
(……美味しい)
「これ美味しいでしょ!」
「っ……まあまあ」
「そう?オレは好きだなー!ちっちゃくて可愛いし!」
美味しそうに頬張る陸と、幼かった頃の陸の姿が重なる。
あの頃もこの子は「美味しい!」と言って沢山食べていた。
でもパクパク食べ過ぎるんだ。
案の定つっかえて……そんな陸の背中をボクがさすって、が水を持ってきたりした事もあった。
これは懐かしい思い出として、今でもボクの記憶に刻まれている。
「こら陸、もっとゆっくり食べて」
「んっ……!大丈夫だよ姉!よく噛んでるから!」
「の割りにはホイホイ口に入れ過ぎだよ?」
「あ……ははは、そうかな?」
「そうです。今お水持ってきてあげるから待ってて」
も思い出したのだろうか。
水を片手に戻ってきた彼女は心配そうに……だけど優しい目つきで陸を見ている。
以前は「天に良い子って言われる陸が羨ましい」って言っていたけど……
(……陸だけ)
ボクもボクで似た事をずっと思ってた。
の優しい眼差しを貰ってる陸が羨ましいって……。