第25章 24 Melody.〜天side〜
が指差したのは四葉環と陸。
……じゃなくて、その影に隠れていた小さくて黄色いものだった。
上には赤いソースがかかっている。
それはまるで……
「オムライス……」
そう、ボクの大好きなオムライスみたいだった。
遠目ではハッキリと断言出来ないけど、黄色いものに赤いソースといえばついオムライスを連想してしまう。
「うん、そうなの。大勢で食べるには丸めた方が摘みやすいと思って……」
「でもどうして?普通そういうのは出ない」
「だって……天好きでしょ……?」
おばさんみたいには作れないけどね……。
と、は苦笑する。
確かにボクはオムライス好き。
特に母の作るやつは大好きだった。
そんな些細な事をまだ覚えていたなんて。
「キミに作れるわけないでしょう」
(全く同じにはね)
「うっ……」
「でも折角だから食べてあげる」
えっ?とが見つめる中、小さなオムライスに向かって足を動かすボク。
邪魔な四葉環を退かそうと一言声をかけるものの……陸と言い争いをしているせいか気付いてもらえない。
独り占めする事ないだろ!
やだ。これ、全部俺が食う。
オレ、オムライス好きなのに!
俺だって好きだし!
……なかなか幼稚な喧嘩だ。
(……呆れる)
「うるさい」
「天にぃ!もー、天にぃからも何か言ってやって!」
(……何かね)
「四葉環、今度キミに王様プリン20個買ってあげる」
「ええっ?!何言ってるの天にぃ!」
「よっしゃ!!絶対だぞ!!」
「わかったらそこ退いて」
「いいぜ!」
(……単純すぎ)